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個人、中国株に回帰=北松円香(09/4/15引用)
 日本の個人投資家が、再び中国株投資に動き出している。中国株の個別株の取引量が持ち直し、中国株指数に連動する株価指数連動型上場投資信託(ETF)も信用買い残が膨らんでいる。金融危機を経てなお、日本より明るい経済成長シナリオを求める個人の海外志向は根強い。

 「今日、明日にも2、3銘柄買いますよ」。60代の個人投資家のSさんは、久しぶりに中国株投資を再開するつもりだ。中国の製造業購買担当者景況指数(PMI)など、経済指標の改善がきっかけになった。

 以前投資した中国株で買値の3分の1に下がった銘柄もあるが、「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中で最初に景気が回復するのはやっぱり中国」。今年2月から3月にかけて、塩漬けになっていた約300万円分を売却し、資金を確保した。「高速鉄道の車両需要が見込める中国南車や、ネット系で若者の利用が伸びそうなテンセントホールディングスなどに投資する」という。



 Sさんのような個人投資家が再び増え始めている。中国株取引に力を入れる藍沢証券、東洋証券、内藤証券、ユナイテッドワールド証券の顧客売買代金の推移をまとめてみた。

 「株価の急落に驚いて、個人資金は預金などに逃げていた」(東洋証券)。売買代金は上海総合指数や香港のハンセン指数の下落と足並みをそろえて07年11月から減り始め、今年1月に115億円まで減少した。ところが直近の株価上昇や中国の景気対策効果への期待が追い風になり、「3月下旬からは、1日当たりの注文量が2月比で倍増している」(ユナイテッドワールド証券)。

 中国株ETFの売買も活発だ。国内で上場する2本の中国株ETFの信用買い残を信用売り残で割った信用倍率は、10日時点でそれぞれ5.93倍、4.66倍と高水準。投資家が一段高を予想していることを示す。

 一方で日本株(3市場合計)の信用倍率は0.93倍だ。株価上昇につれて売り残が膨らみ、買い残を上回ってきた。個人は日本株の回復には懐疑的だが、中国株の上昇は素直に追う。人口減が続いて経済成長率も低い日本に比べ、「中国は消費が拡大するはずだし、将来は円に対して元が上昇する期待も持てる」(40代の個人投資家、Kさん)。

 足元の中国経済には不透明感もぬぐえない。「親せきが勤めている合弁企業で、残業が激減したようです」。華東師範大学(上海)の客員教授でもあるカリヨン証券の加藤進チーフエコノミストは3月上旬、学生からこんな話を聞いた。輸出落ち込みの影響を感じ取ったという。

 3月の中国の輸出額は半年ぶりに前月比で増加に転じたものの、前年同月比ではマイナス17%。追加景気対策への期待が強いが、加藤氏は「公共投資の主体は地方政府。沿岸部で十分な資金調達ができているかどうかに注意が必要」と指摘。さらに「家電などに補助金を出しても、低価格商品の需要が刺激されるだけ」ともいう。

 香港株を巡っては「いったん利益確定売りのタイミング」との声も聞かれる。ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの船渡伸一最高投資責任者(CIO)は「香港市場は米国株との連動性が強い。買い手がかりが途切れ、上値は追いにくい」と話す。個人の「中国志向」が報われるかどうか、結果が出るまでにはしばらく時間がかかるかもしれない。